ウィグル関連年表

※ウィグルと唐の暦は、全く同じではないが、１ヶ月以上の差はないものとし、おおむね一致するものとみなしました。
※西暦は目安です。西暦、吐蕃の暦はともに、歳首、月の日数が唐やウィグルの暦と異なります。

西暦	漢暦	ウィグル暦	主なできごと	周辺国の情勢
			（天寶年間はじめ　葉護頡利吐発(葉護逸標[ヒツ]、即ち骨力裴羅)、使者を唐に派遣。唐、奉義王に封じる）
744	天寶三載申申	猿の年	モユンチュル、オズミシュ=カガンを擒える。クトルグ=ボイラ、カルルクと協力してバシミルを破り、自らクトルグキョルビルゲ=カガン（懐仁可汗）を称する。	安禄山、范陽節度使を兼ねる。
745	天寶四載乙酉	鶏の年	懐仁可汗、白眉可汗を討ち、その首を唐に献上する(突厥の滅亡)。	楊太眞を貴妃とする。
746	天寶五載丙戌	犬の年	三姓カルルクが離反、オン=オクの地に逃亡。
747	天寶六載丁子	豚の年	クトルグ=キョル=ビルゲ=カガン（懐仁可汗）崩御。	安禄山、禁中出入りを許される。安禄山、御史太夫を兼ねる。
748	天寶七載戌子	鼠の年	モユンチュル、推戴されてテングリデ=ボルミシュ=イル=イトミシュ=ビルゲ=カガン（葛勒可汗）となる。	高力士、驃騎大将軍になる。
749	天寶八載巳丑	牛の年	モユンチュル、二人の息子にヤブグゥとシャドの称号を与えてタルドゥシュとテリスの部民を分統させる。
750	天寶九載庚寅	虎の年	チクをケム河で破る。（テス碑文建立。）	楊[金リ]に國忠の名を賜う。南詔王・閣羅鳳、唐の姚州都督・張虔陀を攻め殺す（張虔陀事件）。
751	天寶十載辛卯	兎の年		高仙芝、アラブに敗れる（タラス川の戦い）。安禄山、平盧、范陽、河東三節度使を兼任する。
752	天寶十一載壬辰	龍の年	（このころ、オルドゥ=バリク(カラバルガスン)の造営はじまる。）（タリアト碑文建立。）	李林甫死去。楊国忠が宰相となる。
753	天寶十二載癸巳	蛇の年		哥舒翰、河西節度使を兼ねる。契丹、唐に降る。
754	天寶十三載甲午	馬の年		吐蕃、ティデツクツェン死去。ティソンデツェン即位。
755	天寶十四載乙未	羊の年		11月、安禄山が反乱を起こし、洛陽を占領する(安史の乱)。
756	天寶十五載至徳元載丙申	猿の年	8月、唐に派遣された回鶻の使者が、安禄山討伐の援軍を差し向けたいと申し出る。 9月、粛宗、敦煌王･承寀と将軍･石定番を使者として回鶻に派遣し、回鶻との友好と軍隊の出動を要請。首領を唐に派遣、唐は回鶻の公主を封じて毘伽公主とする。	正月、安禄山、大燕皇帝を自称、年号を聖武に改める。正月甲辰、吐蕃の使者が来降。 6月13日、玄宗、四川に逃亡。安禄山軍、長安入城。 6月14日、馬嵬で楊貴妃、楊国忠らが殺される。 7月9日、粛宗即位、玄宗を上皇とする。
757	至徳二載丁酉	鶏の年	2月、大将軍多攬ら15人を唐に派遣。葛勒可汗、太子・葉護を安史の乱平定のため派遣。粛宗、元帥の広平王に命じて葉護と兄弟の約をさせる。 9月、葉護ら回鶻軍、広平王に率いられ、郭子儀、僕固懐恩らとともに西京を取り戻す。 10月、回鶻軍、東京入城。安慶緒は黄河を渡って敗走。 11月、葉護、西京で粛宗と会い、司空を贈られ、忠義王に封ぜられる。（モユンチュル、中国人、ソグド人にバイバリクを建設させる。）	正月、安慶緒、安禄山を殺す。史思明ら、降伏。
758	至徳三載乾元元年戊戌	犬の年	5月壬申朔、多亥阿波ら80人の使者が唐に来降。 7月、粛宗は詔を下して寧国公主(粛宗の二女)を回鶻に降嫁させることを決め、漢中王璃に葛勒可汗を冊立するための冊命与える。 8月、骨啜特勤、宰相帝徳、勇将三千人を唐に派遣、叛徒を討たせる。 9月甲申、蓋将軍を唐に派遣、公主のお礼を言い堅昆5万人を破った事を報告する。	史思明、再び叛する。
759	乾元二年己亥	豚の年	骨啜特勤、郭子儀に従って相州城下で反乱軍と戦うが勝てず。 3月壬子、骨啜特勤、宰相帝徳15人、相州から西京へ逃げ込む。同月庚寅、骨啜特勤、帰国。 4月、葛勒可汗崩御。牟羽可汗即位。 6月丙午、唐、弔問使を回鶻に派遣。 8月、寧国公主、唐に帰国。	正月、史思明、燕王を称する。史思明、安慶緒を殺す。
760	上元元年庚子	鼠の年	9月己丑、大臣の倶陸莫賀達干らを唐に派遣し、国書を奉呈。同月乙卯、使者20人が延英殿で謁見して贈り物を受ける。
761	上元二年辛丑	牛の年		史思明、李光弼を破る。三月、史朝義、史思明を殺す。
762	寶應元年壬寅	虎の年	9月、中史・劉清潭、国書を持って回鶻の宮廷に到着。回鶻軍、三城の北に到着。薬子昂、僕固懐恩の説得により、唐軍と合流して史朝義にあたることになる。 10月、兵馬元帥・雍王[カツ](後の徳宗)、牟羽可汗に会見。回鶻軍、僕固懐恩らとともに史朝義を破る。	4月、玄宗死去。粛宗崩御。太子豫即位して代宗になる。 6月、吐蕃の使者・燭番莽耳、唐に入貢。吐蕃、臨州を陥落させる。
763	廣徳元年癸卯	兎の年	正月、史朝義の首が京師に届く。安史の乱終結。 2月甲午、牟羽可汗、代宗に暇乞いして本拠地に帰る。 6月、代宗、牟羽可汗に称号を追加して、登里頡咄登密施含倶録英義建功毘伽可汗にし、可敦にも称号を追加して婆墨光親麗華毘伽可敦とする。	正月、李懐仙、史朝義を殺す。 9月、吐蕃侵入、[ケイ]州を陥落させる。 10月、吐蕃、長安入城。広武王・承宏を立てて皇帝とする。
764	廣徳二年甲辰	龍の年	9月、僕固懐恩、霊武を占拠。（僕固懐恩の乱） 10月、僕固懐恩、吐蕃兵数万人を率いて奉天県に至り、郭子儀と交戦。 11月、僕固懐恩、吐蕃の兵を率いて退却。	吐蕃、涼州を陥落させる。
765	永秦元年乙巳	蛇の年	9月、僕固懐恩、奉天、醴泉、鳳翔、同州に侵入。 10月はじめ、吐蕃の将軍・馬重英（タグラルコン）ら退却。回鶻の首領・羅達干ら、[ケイ]陽で郭子儀に投降。白元光と合流し、吐蕃を追撃して破る。	3月、吐蕃が唐に和親を請うが、取りやめになる。僕固懐恩死去。
766	大歴元年丙午	馬の年		2月、唐、大理少卿兼御史中丞・楊済に命じて吐蕃に好を通じさせる。 4月、吐蕃、楊済の帰国に際してロン=ティサンを同行させ、唐に派遣。
767	大歴二年丁未	羊の年		10月、唐、霊州で吐蕃軍を破る。 11月、和蕃使・[セツ]景仙、吐蕃より帰還。ロン=チリンが同行して唐に入る。
768	大歴三年戊申	猿の年	主要な都市にマニ教寺院を建立するよう唐に要請。婆墨光親麗華毘伽可敦、死去。唐から蕭[日斤]が弔問のために派遣される。	3月、シャン=ツェンワを大将とする吐蕃軍、[分β]州に侵入。[分β]寧節度使・馬[リン]が破る。 9月、吐蕃、霊州に侵入。朔方軍騎将・白元光に破られる。
769	大歴四年己酉	鶏の年	崇徽公主（僕固懐恩の娘）、回鶻に嫁す。
770	大歴五年庚戌	犬の年		杜甫死去。
771	大歴六年辛亥	豚の年	正月、長安に滞在中の回鶻人が鴻臚寺を出て、子女を略奪して役人に殴打される。その報復に回鶻300騎が金光門、朱雀門に乱入。主要な都市にマニ教寺院を建立するよう唐に要請。
772	大歴七年壬子	鼠の年	7月、鴻臚寺を出た回鶻人が長安令・邵説が乗っていた馬を奪う。
773	大歴八年癸丑	牛の年	7月、回鶻の140人が帰国。 8月、回鶻の使者・赤心が馬一万頭を携えて交易を求める。郭子儀が自分の1年分の棒給でその馬を買い取ることを奏するが許されず（11月にこのうちの6000匹を買うこととする）。	秋、吐蕃の六万騎が霊武に侵入。 10月、吐蕃、[ケイ]州、[分β]州に侵入。渾[王咸]、馬[リン]が迎え撃って撃退する。
774	大歴九年甲寅	虎の年
775	大歴十年乙卯	兎の年	9月、東市で人を刺殺して拘留された回鶻人を、赤心が武力で奪い返す。	田承嗣、反す。
776	大歴十一年丙辰	龍の年		正月、唐の剣南節度使･崔寧、突厥、吐谷渾などの軍20万を破る。
777	大歴十二年丁巳	蛇の年		9月、吐蕃、坊州に侵入、党項の羊・馬を奪う。 10月、崔寧、吐蕃の望漢城を破る。
778	大歴十三年戊午	馬の年	正月、回鶻、太原に侵入、河東節度使留後・太原尹兼御史太夫・鮑防と陽曲で交戦、これを破る。羊武谷で代州都督・張光晟と戦って敗れ、退却。７月、渾[王咸]の将兵が振武軍に鎮し、塞上に留まっていた回鶻は去る。
779	大歴十四年己未	羊の年		5月、代宗崩御。徳宗即位。 8月、唐、太常少卿・韋倫を吐蕃に派遣。吐蕃の俘虜500人を送還。南詔・閣羅鳳死去。孫の異牟尋が跡を継ぐ。 10月、吐蕃、南詔の兵20万を率いて唐に侵入。
780	建中元年庚申	猿の年	六月、中官の梁文秀が回鶻に到着、代宗の喪を告げる。頓莫賀達干、牟羽可汗を殺す。即位してアルプ=クトルグ=ビルゲ=カガンとなる。梁文秀の帰国に合わせ、建達干を唐に派遣する。唐、頓莫賀達干を冊して武義成功可汗とするために、京兆尹・源休を派遣。しかし、8月、張光晟が回鶻の突董を殺したために、太原で命令を待つ。建達干が帰国して突董殺害の件を知らせる。	4月、韋倫、吐蕃より帰還。 5月、唐、韋倫を太常卿とし、再び吐蕃に派遣。冬、吐蕃、宰相の論欽明思ら55人を韋倫の帰国に同行させ、唐に派遣。
781	建中二年辛酉	鶏の年	源休、太原を出発、突董ら四人の棺を回鶻に送り届ける。源休は、50日の間、回鶻に拘留された後に帰国。	6月、郭子儀死去。 12月、唐の入蕃使判官・常魯、吐蕃の使者・ロン=タグラを伴って帰国。
782	建中三年壬戌	犬の年		4月、吐蕃、捕虜800人余りを唐に送還。 9月、唐の和蕃使・崔漢衡、吐蕃の使者・クゥギャツェンを伴って帰国。
783	建中四年癸亥	豚の年		正月、唐の張鎰と吐蕃のシャン=ギェルツェンラナンらが清水で会盟（清水の会盟）。 2月、崔漢衡、吐蕃へ答礼に向かう。 6月、唐の答蕃使判官・于[由頁]、吐蕃の使者・ロンギェルサンを伴って帰国。 10月、朱泚、反乱を起こす。徳宗奉天に逃れる（朱泚の乱）。
784	興元元年甲子	鼠の年		6月、朱泚、部下に殺さる。朱泚の乱終息。
785	貞元元年乙丑	牛の年		朱滔、病死。このころ、韋皋、張延賞に替わって剣南西川節度使になる。
786	貞元二年丙寅	虎の年		8月、シャンギェルツェン率いる吐蕃の軍が、ケイ・隴・[分β]・寧に入冦。 9月、吐蕃の遊撃兵、好畤に達する。同月、鳳翔節度使・李晟の将・王[イ必]、[ケン]陽城で吐蕃を破る。 10月、李晟、吐蕃の堆沙堡を破る。 11月、吐蕃、塩州を占領。 12月、吐蕃、夏州、銀州を占領。吐蕃、沙州(敦煌)を陥落させる。
787	貞元三年丁卯	兎の年	8月、墨啜達干、多覧将軍、合闕達干らを唐に派遣。	5月、吐蕃、平涼で唐と偽の会盟を行う（平涼の偽盟）。
788	貞元四年戊辰	龍の年	10月、回鶻の公主、使者らが長安に到着。延喜門で徳宗に会見。 10月庚子、徳宗、咸安公主の回鶻降嫁を決める。	吐蕃入冦。契丹、奚とともに振武軍に侵入して人畜を略奪。
789	貞元五年己巳	蛇の年	冬、吐蕃が北庭都護府攻撃を開始。イル=オゲシが救援に向かうが、敗れる。 12月、アルプ=クトルグ=ビルゲ=カガン崩御。子の多邏斯、即位してテングリデ=ボルミシュ=キュリュグ=ビルゲ=カガン（忠貞可汗）となる。	3月、李泌死去。 9月13日、悟空、北庭を出発、回鶻路を通って長安に向かう。 10月、剣南節度使・韋皋、雋州臺登北谷で吐蕃を破る。
790	貞元六年庚牛	馬の年	4月、忠貞可汗、殺され、弟が帝位を嗣ぐ。この弟も殺され、忠貞可汗の子供・阿啜が可汗になる（奉誠可汗）。 6月、回鶻の使者、移職伽達官帰国。鴻臚卿・郭鋒が忠貞可汗冊立のため同行。同月、イル=オゲシ、西征から帰還して阿啜に臣下の礼を取る。達比特勤、梅録将軍を唐に派遣して忠貞可汗の喪を告げる。秋、イル=オゲシ、楊襲古とともに5万の軍を率いて北庭都護府を奪還に向かうが勝てず、楊襲古とともに本営に帰還、楊襲古を拘束する。カルルクが浮図川を占拠。	2月、悟空、長安到着。吐蕃が北庭都護府を陥落させる。
791	貞元七年辛未	羊の年	5月、唐、鴻臚少卿ソウ[金延]を回鶻可汗の冊命および弔祭使に任ずる。 5月、律支達干、唐に使して小寧国公主の死去を告げる。吐蕃、靈州に侵入、回鶻撃ってこれを破る。 8月、北庭でカルルクと吐蕃を破った事を唐に告げる。 9月、楊襲古を殺す。 12月、殺支将軍が捕虜にした吐蕃の将・結心を唐朝に献じる。	6月、韋皋、討撃副使・段忠義に書を持たせて南詔に帰す。吐蕃はこれを怪しみ、南詔の大臣の子を人質として吐蕃に送る。
792	貞元八年壬申	猿の年	7月、ヤグラカル霊、唐朝を訪れる。唐は霊を検校右僕射に任命し、絹7万匹を与える。
793	貞元九年癸酉	鶏の年	9月、唐に使者を派遣。	正月、唐、茶に課税する。
794	貞元十年甲戌	犬の年		十月、唐、吐蕃を大いに破る。南詔・異牟尋、唐から册封されて南詔国王となる。
795	貞元十一年乙亥	豚の年	奉誠可汗、崩御。子がいなかったので、クトルグ=セングン(イル=オゲシ)、推戴されてテングリデ=ユリュグ=ブルミシュ=アルプ=クトルグ=ウルグ=ビルゲ=カガンとなる。 6月庚寅、唐、テングリデ=ユリュグ=ブルミシュ=アルプ=クトルグ=ウルグ=ビルゲ=カガンを懐信可汗に冊立。	吐蕃、ティソンデツェンの息子、ムルクツェンポ、ナナム氏のツァンシェル（＝ウリン、ギェルツェンラナンの息子）を殺害。
796	貞元十二年丙子	鼠の年		吐蕃、ティソンデツェツェン、退位。ムネツェンポ即位。吐蕃、シャン=ギェルツェンラナン死去。
797	貞元十三年丁丑	牛の年	涼州を占領。	吐蕃、ムネツェンポ、生母のツェポン氏メトクドゥンに毒殺される。吐蕃、ティソンデツェン、死去。
798	貞元十四年戊寅	虎の年		吐蕃、ムネツェンポの弟、セナレグ仮登位。
799	貞元十五年己卯	兎の年
800	貞元十六年庚辰	龍の年
801	貞元十七年辛巳	蛇の年		磨些蛮千余戸が韋皋に降伏。 7月、吐蕃、塩州、麟州に侵攻。刺史郭鋒を殺す。
802	貞元十八年壬午	馬の年		正月、韋皋、前年の戦いで捕虜にした吐蕃の内大相ロン=マンシェルを献上。
803	貞元十九年癸未	羊の年		5月、吐蕃、唐にロン=ギェルシェルを派遣。吐蕃、ムルクツェンポ、暗殺される。セナレグ、正式に即位して、ティデソンツェンとなる。
804	貞元二十年甲申	猿の年
805	貞元廿一年永貞元年乙酉	鶏の年		正月、唐、徳宗崩御。順宗即位。八月、順宗、帝位を太子に伝え、太上皇となる。憲宗即位。韋皋、急死。
806	元和元年丙戌	犬の年		正月、唐、太上皇崩ずる。
807	元和二年丁亥	豚の年	主要な都市にマニ教寺院を建立するよう唐に要請。
808	元和三年戊子	鼠の年	咸安公主、死去。懐信可汗、崩御。アイ=テングリデ=クト=ブルミシュ=アルプ=ビルゲ=カガン（保義可汗）即位。唐、ウィグルの請を入れ、河南府、太原府にマニ教寺院三カ所を置く。	南詔、異牟尋死去。子の尋閣勧が跡を継ぐ。沙陀、全部族をあげて東進、霊州にたどり着く。
809	元和四年己丑	牛の年	保義可汗、唐に使者を派遣する。	南詔、尋閣勧死去。子の勧龍晟が跡を継ぐ。
810	元和五年庚寅	虎の年
811	元和六年辛卯	兎の年	使者のイナンチュ（伊難珠）を派遣し、唐朝との婚姻を願う。保義可汗、3000騎を率いて[辟鳥]鵜泉に到着。
812	元和七年壬辰	龍の年
813	元和八年癸巳	蛇の年	4月、使者のイナンチュ、帰国。秋、回鶻の千騎が[辟鳥]鵜泉に迫る。	吐蕃、[ケイ]州に冦する。沙陀、朱邪執宜、天徳軍に留まり、回鶻に備える。
814	元和九年甲午	馬の年
815	元和十年乙未	羊の年		吐蕃、ティデソンツェン死去、その子ティツクデツェンが跡を継ぐ。
816	元和十一年丙申	猿の年		南詔、勧龍晟、弄棟節度・王嵯巓に殺される。弟の勸利を立てて王とする。
817	元和十二年丁酉	鶏の年	2月、摩尼8人の帰国に際し、唐朝は宴を開き、宰相に会わせる。
818	元和十三年戊戌	犬の年
819	元和十四年己亥	豚の年
820	元和十五年癸子	鼠の年		正月、唐、憲宗、陳弘志に殺される。穆宗即位。
821	長慶元年辛丑	牛の年	2月、唐朝は、保義可汗の崩御を知らせる使者を鴻臚寺において弔問させる。 4月、キュン=テングリデ=キュリュグ=ブルミシュ=アルプ=ビルゲ=カガン（崇徳可汗）を冊立。 5月、宰相、都督、公主、摩尼ら573人が太和公主を迎えに唐を訪れる。太和公主、降嫁。	6月、吐蕃、青塞堡に侵入。 9月、吐蕃、唐に使者を遣わして会盟を求める。 10月10日、穆宗、大理卿兼御使太夫の劉元鼎を西蕃会盟使に当て、吐蕃の使者と会盟させる（長慶の会盟）。
822	長慶二年壬寅	虎の年	2月、唐朝は馬の代価として絹5万匹を支払う。 3月、回鶻軍、豊州の北界に迫る。唐朝は馬の代価として絹7万匹を支払い、引き上げさせる。	5月6日、劉元鼎、吐蕃で会盟を行う。 6月、劉元鼎、吐蕃より帰還。
823	長慶三年癸卯	兎の年	キュン=テングリデ=キュリュグ=ブルミシュ=アルプ=ビルゲ=カガン（崇徳可汗）崩御。弟の葛薩特勤、即位してアイ=テングリデ=クト=ブルミシュ=アルプ=ビルゲ=カガン（昭礼可汗）になる。	南詔、勸利死去。弟の豊祐、跡を継ぐ。
824	長慶四年甲辰	龍の年	使者が唐を訪れ、崇徳可汗の死去と昭礼可汗の即位を伝える。	正月、穆宗崩御、敬宗即位。
825	寶暦元年乙巳	蛇の年
826	寶歴二年丙午	馬の年		12月、劉克明ら、敬宗を殺す。王守澄ら、劉克明らを討ち、江王涵を帝位に就ける(文宗)。
827	太和元年丁未	羊の年	正月、唐、馬の代価として絹20万匹を支払う。
828	太和二年戊申	猿の年
829	太和三年己酉	鶏の年	正月、唐、馬の代価として絹23万匹を支払う。
830	太和四年庚戌	犬の年
831	太和五年辛亥	豚の年
832	太和六年壬子	鼠の年	3月27日、アイ=テングリデ=クト=ブルミシュ=アルプ=ビルゲ=カガン（昭礼可汗）、部下に殺される。アイ=テングリデ=クト=ブルミシュ=アルプ=キュリュグ=ビルゲ＝カガン（彰信可汗）即位。
833	太和七年癸丑	牛の年	3月、李義節らが唐を訪れ、昭礼可汗の死去を伝える。
834	太和八年甲寅	虎の年
835	太和九年乙卯	兎の年	6月、使者が唐を訪れ、太和公主が献上した馬、女射手7人、沙陀の子供2人を献ずる。	甘露の変。
836	開成元年丙辰	龍の年		吐蕃、ティツクデツェン死去、その弟ダルマが跡を継ぐ。
837	開成二年丁巳	蛇の年
838	開成三年戊午	馬の年		日本、最後の遣唐使を派遣。
839	開成四年己未	羊の年	大臣・安允合、特勤・紫草、カガン位を奪おうとして逆に殺される。大臣・掘羅勿、沙陀を引き入れて彰信可汗を殺し、コウ[馬及]特勤を可汗にする。	沙陀、朱邪赤心、掘羅勿から良馬300匹を贈られる。
840	開成五年庚申	猿の年	将軍・句録末賀、キルギスの10万人を引き込んでオルドゥ=バリクを攻め、コウ[馬及]特勤と掘羅勿を殺す。（ウィグルの崩壊）大臣の[馬及]職、外甥の厖特勤、息子の鹿、遏粉ら兄弟五人、15部落を引き連れて西方のカルルクに逃げる。 9月、カガンの兄弟・オルムズ=テギン、その相・僕固、赤心、ナイルチュルら、天徳軍に至る。	正月、唐、文宗崩御。武宗即位。
841	會昌元年辛酉	鶏の年	2月、可汗の本営の近くにいた13部は、南方に移動し、烏介特勤を可汗として錯子山に駐屯する。	吐蕃、ダルマ暗殺される（ツェンポ位継承をめぐって翌年、吐蕃の分裂）。
842	會昌二年壬戌	犬の年	秋、幽州節度使・張仲武、弟の張仲至を派遣して那頡啜を破り、7千帳を接収、9万人近い数の老人や子供を殺戮、あるいは捕虜にした。那頡啜は矢に当たり逃亡したが、烏介可汗に捕まり、殺される。烏介可汗は10万人の諸部を率いて、大同軍の北、閭門山に本営を置く。冬から翌年春にかけて、ウィグルが相次いで幽州に投降、計7万人にも上る。特勤オン没斯、阿歴支、習勿啜の3部、大臣の愛邪勿弘順、尚書呂衡ら、振武軍に投降。李姓と思忠、思貞、思恵、思恩の名を賜り、帰義使にあてられる。	契丹酋長、屈戌、唐に降る。ウィグルの与えた印に代え、唐より「奉国契丹之印」を贈られる。
843	會昌三年癸亥	豚の年	正月～2月、河東節度使・劉湎、幽州の境界から80里の地点で幕営していた烏介可汗を襲撃、烏介可汗は黒車子室韋に逃げる。豊州刺史・石雄、太和公主の幕帳に出会い、保護して唐に帰還。	（會昌年間）キルギスの可汗・阿熱、唐に注吾合素を派遣。 4月中旬、唐、マニ教指導者殺害の勅命が下る。
844	會昌四年甲子	鼠の年
845	會昌五年乙丑	牛の年		唐、この頃、會昌の禁圧が最高潮に達する。
846	會昌六年丙寅	虎の年	秋、大臣の逸隠啜ら、烏介可汗を殺し、弟の特勤遏捻を可汗にする。	3月、武宗崩御。宣宗即位。
847	大中元年丁卯	兎の年	烏介可汗の部衆、幽州に投降。	唐、キルギスの可汗を英武誠明可汗に冊立。
848	大中二年戊辰	龍の年	春、遏捻、妻の葛禄、子の特勤毒斯ら9騎で西方に逃げたが、キルギスの大臣・阿播に捕らわれる。	吐蕃、河西に侵攻、沙陀・朱邪赤心、これを破る。
849	大中三年己巳	蛇の年		四月、張仲武卒する。
850	大中四年庚午	馬の年		吐蕃、河西に侵攻。
851	大中五年辛未	羊の年		10月、沙州の首領、張義潮、瓜・沙・伊・粛・甘などの地図を奉じて献上。
856	大中十年丙子	鼠の年	唐、厖特勤をウルグ=テングリデ=クト=ブルミシュ=アルプ=キュリュグ=ビルゲ=カガン（懐建可汗）に冊立する。
858	大中十二年戊寅	虎の年		康全泰の乱。
859	大中十三年己卯	兎の年		8月、唐、宣宗崩御。懿宗即位。裘甫の乱。
			（懿宗の時代）僕固俊、北庭から出て吐蕃を攻撃、ロン=コンシェルを敗り、西州、輪臺などを占領。

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○参考文献

斉召南著・山根倬三訳補『中国歴代年表』
布目潮風･栗原益男『隋唐帝国』
平凡社東洋文庫223『騎馬民族史2』
平凡社東洋文庫228『騎馬民族史3』
羽田　亨『羽田博士史学論文集　上巻　歴史篇』
森安孝夫・オチル『モンゴル国現存遺蹟・碑文調査研究報告』
山田信夫「九姓回鶻可汗の系譜」『東洋学報第33巻3-4号』
佐藤長『古代チベット史の研究』
……などなど

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