失われた文字の解読III

エルンスト・ドーブルホーファー

矢島文夫・佐藤牧夫訳

目次

1.神々と大商人たち −キプロス音節文字の解読

2.戦車と酒杯　−クレタ=ミュケナイ線型文字Ｂの解読

3.王子キュル=ティギン、ビルゲ=カガン、賢者トンユクック

−古代トルコ=ルーネ文字の解読

• イスラム以前
• メナンデルの史書
• キュル王子とビルゲ・カガンと賢者トンユクック
• 中国との平和
• 王子の死
• 『イェニセイの刻文』
• ハイケルの発見
• ラドロフの調査
• トムセン『オルホンおよびイェニセイの刻文の解読』
• ヘロドトスの記録
• 『解読されたオルホンの刻文』
• なお異論ある余談
• 「使節館」の壁の文字

4.明日の解読　−エトルリア語、インダス文字、イースター島文字

著者あとがき

付録　解読史余録　　矢島文夫

感想など

「賢者トンユクック」というのは笑いましたね〜。何かのゲームみたい、と思ったんです。でもよく見れば、王子キュル＝ティギンというのもファンタジーっぽいかもしれませんね。彼は白馬に乗っていることもありますから。

突厥碑文の部分は訳し過ぎかな、とも思いますが、その部分は重訳になるので、ある程度は仕方ないのでしょう。欧米の人は、むしろメナンドロス（プロテクトル）の記録で突厥を知っているのか、と、とても新鮮に感じました。

トムセンの突厥文字(ここではルーネ文字＝古代トルコルーン体文字と書いてあるが、北欧のルーン文字とは形が似ているだけで、直接の関係はない)解読の物語は、暗号の関連の本でも良く取り上げられるくらいですから、解読のお手本ともいえるものなのでしょう。